第6章 幕間
「鱗滝さん!ただ今戻りました」
その時、玄関先で少年の声が響いた。赤みがかった髪と瞳。耳には日輪を模したような耳飾り。そして額に傷のある少年は、鱗滝の姿を見てはっと息をのむ。
「鱗滝さん、どうしたんですか!?なんだか、すごく悲しい匂いがします・・・」
鱗滝は少年を一瞥すると、手紙を丁寧に畳んで懐にしまった。そして、動かなくなった鎹烏をそっと優しく抱えた。
「炭治郎。此奴を埋葬してやれ。それから――、近いうちもう一人を迎えることになりそうだ」
「え?迎えるって、誰をですか?それに、この鴉は・・・」
「儂の、古い知り合いの鴉だ。そしてそいつの弟子が、ここに来るやもしれん」
そういう鱗滝の声は、微かだが震えていた。炭治郎と呼ばれた少年は、これ以上何も聞くことができずに彼を見上げていた。
――二人が出会いを果たすまで、あと幾日・・・