第153章 真実(後編)<弐>
「それが君達の、ワダツミの子の秘密だっていうのか・・・?」
炭治郎は声を震わせながらそう尋ねた。
「信じがたい話だろう?だがすべて事実だ。ウタカタノ花はこうして永い時を生きてきた。ワダツミの子の命だけでなく、周りの大勢の人間の心を犠牲にして」
悍ましいだろう?と、ワダツミの子は炭治郎に自嘲的な笑みを向けた。
「ワダツミの子と言うのは、人にもなれず、鬼とも違う中途半端な出来損ない。そんなものが人の真似事をして今の今までのうのうと生きてきたんだ。これ以上滑稽なことはないだろう・・・!」
そう言ってワダツミの子は、汐は笑い出した。だが、その笑い声からにじみ出る悲しみに、炭治郎は気づいていた。
汐の、彼女達の悲しみに。
「やめてくれ!!」
炭治郎は叫んで汐の手を取ると、汐は体を震わせ炭治郎を見た。
「聞いてほしいことがあるんだ。汐にも、もう一人の汐にも」
「!?」
炭治郎の言葉に顔を引き攣らせたのは汐か、それともワダツミの子か。だがそんなことはどうでもよかった。
炭治郎は大きく深呼吸をした後、ゆっくりと口を開いた。