第151章 真実(前編)<肆>
時間は遡り、汐達が訓練に精を出していたころ。
「大海原家が、初代ワダツミの子の子孫・・・」
宇髄から明かされた事に、あまねはそう呟いた。
「こちらは元海柱であり、大海原家最後の当主であった大海原玄海が、書き残した文献で御座います」
宇髄はそう言って、あまねの前に一冊の書物を差し出した。
「彼は柱としての任務をこなす傍ら、自身の生家とワダツミの子について調査をしていました。そして、大海原家とワダツミの子の関係性を秘かに突き止めていたと思われます」
宇髄は神妙な表情であまねに向き合うと、ゆっくりと口を開いた。
「初代ワダツミの子の子孫であるためか、大海原家の人間は、ワダツミの子の特性である人避けや歌が効かず、それを利用し彼女たちの監視及び抹殺を行っていたようです」
宇髄の言葉を、あまねは黙って聞いていた。
「ワダツミの子は人と鬼に影響を及ぼす。中には自らの力を制御できず、暴走し多くの人や鬼の命を奪った者も。それを防ぐため、歌が効かない大海原家の人間は、長い間ワダツミの子の監視、そして暴走した時の抹殺を請け負ってきたということです」
そう言う宇髄の顔は険しく、身体は微かに震えていた。