第150章 真実(前編)<参>
その日の昼餉は、午前中の訓練を終えた玄弥も加わり、皆で鍋をつついていた。
汐は残りの干物を回収するために席を外しており、休憩所に残っているのは僅かしかいなかった。
「悲鳴嶼さんも、何だかんだでいい人だからな」
お椀を啜りながら、玄弥は穏やかな声色でそう言った。
「才能無いから俺の事継子にしないって言ってたけど、俺が鬼喰いしてるの察して弟子にしてくれたし、体の状態を診てもらえって胡蝶さん紹介してくれて」
「あー、そうだったのか!」
炭治郎は、玄弥が悲鳴嶼と共にいる訳を聞いて頷いた。
「胡蝶さんには、めちゃくちゃ嫌な顔されたよ。会う度説教でさ」
その事を思い出したのか、玄弥は少し顔を青くした。
「お前も割りと頭固そうだから色々言われると思ってた」
玄弥はそう言って炭治郎に視線を動かした。
「でも結局、ごちゃごちゃ言わなかったな」
「いやぁ、呼吸使えなかったら俺も、同じようになってたかもしれないし」
炭治郎は首を横に振りながらそう言った。
「でも、体は大丈夫か?しのぶさんも、きっと玄弥の体を心配しての事だから」
「そうかねぇ」
「そうだよ!」
炭治郎はそういうと、にっこりと笑った。