第148章 真実(前編)<壱>
深い深い闇の底を、小さな意思が沈んでいく。
いくら藻掻いても、身体は一向に浮かび上がらない。
呼吸もできず、周りに見えるのは無数の泡沫だけ。
(嫌だ・・・!嫌だ・・・!!)
意思は必死に、拒絶の言葉を口にした。
(死にたくない・・・!まだ、生きていたい・・・!!誰か、誰か助けて・・・!!)
すると目の前に、泡に包まれた何かが落ちてきた。それは酷く不鮮明だったが、人のような姿をしていた。
(・・・!!)
小さな意思は、必死で人のようなものに向かった。二つが触れ合った瞬間、無数の泡の壁が包み、やがて何も見えなくなった・・・。