第147章 本音<肆>
その頃別の場所では。
月明かりの下を、目玉に足が生えた奇妙なものが地面を這っていた。
その目の部分には大きく"肆"と刻まれていた。
"それ"らは目をギョロギョロと動かしながら、少し前を歩く鬼殺隊士の後をつけていた。
"それ"らの、見たものは全て、ある場所へと伝えられていた。
そこは、どこかにある無限城の一室。
琵琶の掻き鳴らされる音と共に混じって、おぞましい心音が響き渡る。
「また一人、見つけました」
そう言って琵琶をかき鳴らすのは、無限城の管理をしている鳴女という女の鬼。
その前には、無惨が雅な模様の椅子にゆったりと座りながら、地図を広げていた。
「これで、六割程の鬼狩り共の居場所を把握。しかしまだ、太陽を克服した娘は見つかりません」
鳴女はそう言って顔を上げた。黒く長い髪に包まれていたその顔には、"肆"と刻まれた大きな目玉が一つあった。
半天狗に代わり、新たな上弦の肆になったのだ。
「鳴女、お前は私が思った以上に成長した。素晴らしい」
「光栄で御座います」
無惨の言葉に、鳴女は恭しく頭を下げた。
「あとはそうだな・・・、このあたり」
「承知いたしました」
無惨はそう言って地図を指さすと、鳴女は静かに返事をした。
「禰豆子も産屋敷も、もうすぐ見つかる」
無惨はそう言って、愉快そうに口角を上げた。