第146章 本音<参>
「それだよ、それ!」
「え?え?」
「それが所謂【好き】って奴だよ!他の奴と話をしていると不安になったり、腹が立ったりするやつ」
「お前鈍いからはっきり言ってやるけどさ。お前は大海原の事を好きなんだよ!!」
三人に指摘され、炭治郎は心臓を撃ち抜かれたような衝撃を感じた。
今まで見ていた世界が、急速に変わって行くようだった。
「好き・・・?」
炭治郎は今しがた言われた言葉を、そっと呟いた。
そんな中、魚を干し終わった汐が戻って来た。
「お待たせ。って、もうおにぎりほとんど残ってないじゃない!!」
汐はがっかりしたように口を尖らせ、炭治郎の隣に腰を下ろした。
「で、あんた達ずいぶん楽しそうだったけれど、何を話してたの?」
「何って、それは・・・」
「男同士の話し合いだよ」
口ごもる炭治郎に、野口が助け舟を出した。
「ふぅん・・・」
汐は疑惑の目を向けていたが、特に気にする様子もなく握り飯を抱える伊之助を追いかけまわしていた。
そんな喧騒の中、炭治郎は耳まで真っ赤になった顔を隠すように、休憩所を後にするのだった。