第145章 本音<弐>
しのぶから絞られた後、許可が出た汐は炭治郎と共に悲鳴嶼邸を目指していた。
「そう言えば、炭治郎は少しだけとはいえ訓練に参加していたのよね?どんな内容だったの?」
歩きながら唐突に尋ねると、炭治郎の表情が強張った。
何かを思い出したのか、"目"に動揺と困惑がちらついている。
「・・・、ひょっとして、とんでもない大きさの滝に打たれたり、大岩を押し動かしたり、それから岩が括り付けられた丸太を背負いながら、下から火であぶるとか、そういう奴?」
汐がそういうと、炭治郎は何故知っているんだと言わんばかりの表情でこちらを見た。
「前に所用で悲鳴嶼さんの家に行ったことがあって、その時に修行の一部を見せてもらったのよ。あの時は修行じゃなくて苦行だって思ったけれど、まさかそれに参加する日が来るなんて・・・」
汐もあの時の光景を思い出したのか、顔が引きつっていた。
「あ、でも。火であぶるのは危ないから、それはやらないって言ってたぞ」
「それ以外はやるんでしょ。全く、どいつもこいつもぶっ飛んだ連中ばっかりだわ・・・」
二人はそんなことを話しながら、ようやく悲鳴嶼邸についた。
だが、二人を待っていたのは仁王立ちしていた悲鳴嶼で、彼は炭治郎に訓練を始めるように言うと汐を一人別室に連れて行った。