第139章 千里の道も一歩から<肆>
「まあとにかく、しおちゃんの気持ちはわかったわ。だけど、これだけは忘れないで。何があっても、しおちゃんはしおちゃんなのだから、あなたはありのままのあなたでいて」
「みっちゃん・・・、ありがとう」
蜜璃は優しく笑うと、そっと汐を抱きしめた。
「さて!久しぶりに二人だけになったのだし、次の人が来るまで特別な訓練をしましょう!」
「特別な訓練?」
「そう!さっきのお手本の踊りを、三倍の速さで踊ってみるの。それからいくつか振り付けを追加しましょ!」
意気揚々と語る蜜璃に、汐は思わず声を上げた。
「三倍って、みっちゃん。あたし赤くないんだけど!」
「よく意味が分からないけれど、しおちゃんならきっと大丈夫よ!ガンガン行くわよ!」
蜜璃は鼻息荒く言い放ち、汐はそんな師範を見て考えることをやめた。
その訓練をこなした後。汐は次の柱である伊黒の元を尋ねることになる。
だが、汐は気が付かなかった。
彼の元でもひと騒動が起きることになるここと、自分が去ったすぐ後に炭治郎が蜜璃の元を訪れていたことを・・・。