第135章 為すべきこと<参>
「炭治郎は水柱にならなければならなかった」
義勇の"目"には、怒りの他に苛立ちが見て取れた。
しかし、義勇の言葉を聞いて汐は口を挟んだ。
「んなこと言ったって、炭治郎の身体は水の呼吸に適してないんだからしょうがないじゃない」
「それは申し訳なかったです」
「って、なんであんたが謝るのよ?あんたはこれっぽっちも悪くないじゃないの」
汐は口を尖らせながらそう言うと、炭治郎は目を伏せながら言った。
「でも、鱗滝さんとも話したんですけど、使ってる呼吸を変えたり、新しい呼吸を派生させるのは珍しいことじゃないそうなので。特に水の呼吸は、技が基礎に沿ったものだから派生した呼吸も多いって・・・」
「そんな事を言ってるんじゃない」
そんな炭治郎の言葉を、義勇はぴしゃりと遮った。
「水柱が不在の今、一刻も早く誰かが水柱にならなければならない」
「「え?」」
汐と炭治郎は、同時に頭の中に疑問符を浮かべた。
「水柱が、不在?」
「わけがわからないわ。水柱は冨岡さんじゃないの」
汐と炭治郎が言う。しかし義勇は淡々と答えた。
「俺は水柱じゃない」
その義勇の"目"からやるせなさを感じた汐は、思わず息をのんだ。
「帰れ」
義勇は冷たくそう言うと、そのまま立ち上がった。