第134章 為すべきこと<壱>
「ギイヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
善逸の断末魔が聞こえた後、あたりは水を打ったように静かになった。
「お、おい。何も聞こえなくなったぞ・・・?」
後藤は青ざめた顔で炭治郎を見ると、炭治郎も顔を真っ青にしながら俯いていた。
「お前の彼女、怖すぎじゃねえか?」
「ふ、普段はとても優しいんですよ!」
炭治郎は慌てて後藤に向き合いながら答えた。
「確かに怒ると怖ろしいことをしたり言ったりしますけれど、相手の事をきちんと見ていますし、それに笑うと可愛いし、お化粧をすると物凄く綺麗だし――、とにかく!汐は本当は凄くいい子なんです!!」
(惚気かよ・・・)
顔を真っ赤にしながら捲し立てる炭治郎に、後藤はため息を一つついた。
ふと視線を移せば、炭治郎のベッドの傍の水差しが空になっていることに気づいた。
「その水差し、もうねえんだろ?俺いって水貰ってくるわ」
「え?そんな、いいですよ。俺が自分でやりますから」
「いいって、いいって。怪我人は寝てろ。んじゃ、行ってくるわ」
後藤は水差しを手に取ると、ごねる炭治郎をしり目に病室を後にした。