第133章 光明<肆>
その後、傷を負った汐達はすぐさま蝶屋敷へと搬送された。
炭治郎と柱二人は勿論の事、汐と玄弥も見た目以上に重傷を負っていた。
汐は脱臼した右肩に加え、ウタカタ多用による喉の炎症が起きていて、最低でも一週間は安静と診断された。
それから数日後。ギプスを外してもらった汐は、散歩がてら蝶屋敷の中を歩いていた。
強張った腕の違和感をぬぐうように腕を動かしながら歩いていると、炭治郎達がいる病室から声が聞こえてきた。
「あら、誰か来てるの?」
汐がのぞき込むと、そこにはおにぎりを頬張りながらこちらを向く炭治郎と隠の男があった。
「汐。肩の怪我はどうだ?」
開口一番に汐を気遣う言葉を発する炭治郎に、汐は困ったように笑った。
「それはこっちの台詞。あんた、つい最近まで意識不明の重体だったんでしょ?ったく、相も変わらず人の心配ばかりするんだから」
汐はそう言って炭治郎の眠るベッドに座った。
「ほら。顔にご飯粒ついてるわよ」
「え、どこ?」
「ここよ。ああもういいわ。あたしがとるから、手ぬぐい貸して」
汐は炭治郎から手ぬぐいを受けると、ご飯粒が付いた顔を優しく拭く。
汐から漂う香りに炭治郎の心臓が跳ね、頬に熱が籠った。
それを見ていた隠の男は、顔をしかめながら咳払いをした。した。