第132章 光明<参>
「しおちゃああああん!!みんなああああ!!」
遠くから声と共に地響きが聞こえ、皆が何事かとぎょっとして振り返ると、桃色と緑色の塊が砲弾のように駆け寄ってきた。
「うわああああ!!勝った勝ったぁ、皆で勝ったよ。すごいよぉおお!!」
蜜璃は泣きじゃくりながら、汐達を両手で抱きしめた。
炭治郎と無一郎、玄弥の三人は驚きのあまり固まり、特に玄弥に至っては耳まで茹蛸の如く真っ赤に染まった。
「いだいいだいいだい!!!みっちゃん痛い!!あたし右肩外れてるのよ!!力入れないで!!」
汐は抱きしめられて脱臼した肩に激痛が走り、涙目になりながら叫んだ。
「うわあああ!!ごめんねええ!!!でもみんな生きてるよおおお!!よかったああああ!!」
先程よりも更に大声で泣きわめく蜜璃を見て、禰豆子はにっこりと笑うと「よかったねぇ」と答えた。
上弦の鬼二匹を相手にし、汐達は誰一人として欠けることなく勝利を収めた。
そして禰豆子が日の光を浴びても命を失わず、人の言葉を取り戻した。
これが何を意味するのかは、誰にも分からない。
しかし今はこの喜びの時間を少しでも長く分かち合おう。
明日へつなぐ、希望として。