第129章 強くなれる理由<肆>
その頃、長である鉄珍の屋敷も魔の手は伸びていた。建物は無残に破壊され、怪物の手には里の者と鉄珍が掴まれている。
鉄珍の身体は血に塗れ、面の中からも血が吹き出していた。
(里を常駐で警護していた鬼殺隊員が、あっけなくやられてしまった・・・)
人の何倍もある大きさの怪物の足元には、身体を真っ二つに裂かれた隊士と首をへし折られた隊士が哀れにも横たわっていた。
(里で最も技術を持つ長を死なせるわけにはいかない。だが、この大きすぎる化け物・・・、攻撃がまるで効かん・・・。異常に動きも早い)
鉄珍の付き人らしき男は、薙刀を握り締めながらなんとか立ち上がろうとしていた。
その時だった。
「動かない方がいいですよ」
凛とした声が響き、彼の前に一つの人影が現れた。
「多分貴方は、内臓が傷ついているから」
そこには、鞭のようにしなる刀を構えた蜜璃が立っていた。