第127章 強くなれる理由<弐>
「やや、ややや!!!よく見たら貴様、女ではないか!!」
玉壺の言葉に、鉄火場と鉄穴森の肩がびくりと動く。
「これはこれは、女の鍛治とはまた面妖な。だが、それもまたいい・・・」
玉壺は鉄火場の首を乱暴に掴み、持ち上げた。面が割れ、露になった口元から泡になった血が零れ落ちる。
「そうだ!おい人間。この女の命がどうなってもいいのか!?今すぐ手を止めねば、こやつを使って作品を・・・」
しかし玉壺がそう叫んでも、鋼鐵塚は一向に手を止める気配はなかった。
「無駄、ですよ・・・」
そんな中、首を掴まれている鉄火場の口から、か細い声が漏れた。
「ほ、蛍・・・は、一度、ぼ、没頭すれば・・・、天地が、ひっくり返ろうとも・・・、その手を止めることは、決して、ない・・・。この人は、そういう人間、なんです・・・。あなたとは・・・、格が・・・、違うのですよ・・・」
割れた面越しに玉壺を見る鉄火場の目には、恐れはあるものの凛とした意志が宿っていた。鋼鐵塚を心より信頼し、想っている目だった。
それを見た玉壺は奇声を上げると、鉄火場を思い切り壁に叩きつけた。