第127章 強くなれる理由<弐>
無一郎の顔に浮き出た痣に、汐は既視感を感じていた。
それは吉原での戦いで、一瞬だけ見た炭治郎の額の痣。それと似たようなものを、どこかで見たような気がしていた。
「って、今はそれどころじゃない。小鉄!!」
汐は倒れている小鉄を見て息をのんだ。小鉄の着物は血に塗れ、腹部の部分が真っ赤に染まっていた。
「小鉄・・・!」
汐は顔を歪ませながら小鉄を抱きしめた。自分が後れを取らなければ、小鉄をこんな目に遭わせずに済んだのにと。
(いつも、いつもそうなのよ、あたしは。失くしてから初めて気づくの。そして後悔する。あの頃とあたし、何にも変わってないじゃない!!)
汐は悔しさをこらえるように唇をかみしめた。すると、ふと違和感を感じ小鉄の胸元に耳を寄せた。
(!!)
汐は今度は先ほどとは別の意味で息をのんだ。胸の奥から、確かに鼓動音が聞こえていた。