第125章 招かれざる客<肆>
時間は少し遡り
鴉の羽音が響く中、暗闇の中を駆け抜ける一つの人影があった。
「急がなきゃ、急がなきゃ、里のみんなが危ないわ!」
桃色と緑色のお下げを激しく揺らしながら、恋柱・甘露寺蜜璃は風を切って走り続けていた。
担当地区での任務後、鴉から里の襲撃の知らせを聞き、直ぐ様里へ向かっていたのだ。
「でも、私の担当してる地区から刀匠さんたちの里、すごい近かったのね!びっくり!」
――よーし、頑張るぞォ!!
蜜璃は胸に決意を強く抱きながら、夜を軽やかに駆けていった。
大切な人たちを守るために。
反撃の準備は整いつつあった。