第125章 招かれざる客<肆>
「まだ作品の説明は終わってない!最後までちゃんと聞かれよ」
話を中断されたせいか、玉壺は不機嫌そうな声色で言い放った。
(あいつ、あんなふざけた姿してるくせに、移動速度が速い・・・!)
焦る汐に反して、無一郎は冷静に玉壺の動きを観察していた。
(壺から壺へ移動できる・・・なるほど)
「私のこだわりは、その壺の・・・」
屋根の上で再び語りだす玉壺に、無一郎は飛び上がると一気に斬りつけた。
しかしその刃は玉壺に届かず、虚しく空を切った。
(移動が速い、また逃げられた)
無一郎は顔をしかめながら、玉壺の姿を捜した。
視線を向ければ、先ほどまでは何もなかった位置に壺があった。
(気づくと壺がある、どうやって壺を出してくるんだ)
玉壺は先ほどから説明を中断され続けているせいか、不機嫌そうに顔をしかめた。
「ええい、いい加減にしろ!私の説明の邪魔を・・・」
――ウタカタ・参ノ旋律――
――束縛歌!!!
汐の歌が響き渡り、玉壺の身体を拘束した。その隙を突き、汐が斬りかかるが玉壺は歌を振り払うとまた別の場所へ移動した。
(束縛歌がほとんど効かない・・・。やっぱり上弦の鬼には効果が薄い・・・)
壺を破壊しながら汐が苦々し気に顔を上げると、玉壺は全身に血管を浮き上がらせながら言った。