第124章 招かれざる客<参>
「油断しないでって言ったのは、どこの誰だったかしら?」
止めを刺した汐は少し皮肉めいて笑うと、無一郎は少し呆れたように溜息をついた。
「遅い」
「あんたが速すぎるのよ!!あたしを柱みたいな出鱈目人間たちと一緒にしないで!というか、助けてもらった癖に何よその態度」
「別に助けてもらうつもりなかったんだけど」
「あんた、いちいち腹立つわね!!」
汐は歯を剥き出しながら怒鳴りつけるが、無一郎はそれを無視して小鉄たちに向き合った。
「ねえ、あなたが鉄穴森という人?」
鉄穴森が頷くと、無一郎は刃こぼれした刀を彼の前に突き出した。
「俺の刀用意してる?早く出して」
鉄穴森は無一郎の刀を見るなり、その無残な姿に思わず息をのんだ。
「これは酷い刃毀れだ」
「だから里に来てるんだよ」
「なるほどなるほど。では刀をお渡ししましょう」
いやにあっさりと通る話に、無一郎は不信感を抱いたのか眉根を寄せた。
「随分話が早いね」
後ろでは小鉄が「感謝したらいいですよ」と上から目線で口を挟むが、無一郎は完全に無視して言葉を紡いだ。