第6章 文化祭準備2!!
「えへ?」
その音の犯人は田代…
ご機嫌で笑いながら走り去る田代を夕士は追いかけていった。
「上手く誤魔化したね…本当は違うでしょ?」
夕士が去った後に珠紀が言った。
「まぁな…青木の取り巻きがお前を切りつけた。」
千晶は少しイラついたようにタバコを吸ってから煙を吐いた。
「あぁ…やっぱりか。見なかったことにしておいて。目撃者も少ないしうちらが黙っておけばいいよ。」
珠紀はいつもの無表情を貼り付けたまま言った。
「珠紀…」
「ん?なに?」
「なぜ、そいつを庇う…お前は殺されかけたんだぞ?」
そう言った千晶の声は苛立っていることが明らかだった。
「そんなにイライラしない。たしかにそうだけどあたしは夕士くんが助けるって分かってたから大丈夫って確信があった。その犯人もさ…認められなくて辛いんだよ…それを認めて貰ったのが青木。あの子らにとって青木が全て…その青木に生意気な態度をとる奴はムカつくって思ってしまっているから。あたしがケンカ売ったようなもんだからね。これでおあいこってわけ。」
珠紀は悲しそうに言った。
「お前にもそういう時期があったような口ぶりだな。」
千晶はタバコの煙を吐いてから言った。
「妙に刺々しい言い方するねぇ…まぁ、それがあたしにとっての直巳だってこと。直巳はおばあちゃんに虐げられて…色々言われて…自信を無くしてたところにおばあちゃんに怒ってくれて…自分は自分でいいんだって気づかせてくれた。時には怒って時には優しく抱きしめてくれて…あ〜…この人が居ないとあたしの人生ダメになるわ…この人とずっと一緒に添い遂げたいって思った。」
「まったく…」
「あ…顔赤い!!」
「うるせぇ…」
照れながらそう言う千晶に珠紀は心からの笑顔で微笑んだ。
「直巳…大好きだよ。」
「俺も珠紀が好きだ…」
そう言い合うと2人は触れるだけのキスをした。