第3章 溢れ出る想いと感情
「稲葉?どうしたの?ぼーっとしちゃって…」
ぼーっと珠紀を見ている夕士に田代が声をかけた。
「いや、天堂って相変わらず、英語ペラペラなんだなって…」
「そりゃそうでしょ〜珠紀はクォーターだもん。」
「え?そうなのかっ!?」
「稲葉しらなかったの?珠紀のお母さんがイギリスと日本のハーフでお父さんが日本人なの。日本生まれの日本育ちなんだけど、お婆ちゃんが英語しか話せないから自然と覚えたみたい。まぁ、お父さんの方のお婆ちゃんとはそりが合わなくてしょっちゅう喧嘩してたみたいだけどね。」
「お前…なんでそこまで知ってるんだよ…こええよ…」
相変わらずの田代の情報にビビる夕士。
「珠紀とは幼なじみだからね。でも、1つだけ分からないことがあってね?珠紀の彼氏のことなんだけど…誰に聞いてもみんな知らないって言うのよね…」
田代が不思議そうに言う。
「そうなのか…お前でも分からねぇことがあるんだな…(言えねー…口が裂けても俺らのクラスの担任だなんて言えねー…)」
夕士はヒヤヒヤしていたのであった。
そんなわけで外国人クラブの交流会も無事に終わった。