第4章 嫌われ者鬼師匠2【冨岡×新弟子】
「騒がし……えっ?」
案の定、花怜の家から出てきたのは、義勇だった。
「あら、冨岡さん。私達は任務で来ているんですよ」
胡蝶の言葉に義勇は目を見開いた。
その瞳には、『上弦、零』と書かれてあった。
「冨岡、テメェ……」
「血鬼術、流水」
義勇は自分の周りから水を出した。そのせいで、視界が狭まる。
「いい加減にしろ!冨岡、テメェは何人食ったんだ!」
今日の任務は……義勇を倒すということだった。
花怜は崩れて落ちる。
憎い鬼だとしても、義勇はとても優しかった。どんな時もずっと見守ってくれた。
「義勇さん!」
花怜が叫ぶと、義勇は血鬼術を止めた。
「花怜……」
義勇は今気付いたかのように寂しそうな顔をした。
「テメェを殺す!」
「不死川さん、それは石原さんに任せた方が良いと思いますよ」
先の展開を分かっているかのように胡蝶は頬笑む。その様子に不死川は舌打ちをして引いた。
すると、義勇は花怜の頬に触れながら言った。
「俺は殺されるのか……。花怜、お前が凪で俺を……」
「止めて下さい!私は貴方を死なせたくないんです!」