第3章 透き通るように【時透×未来人】
体に痛みを感じながらゆっくりと起き上がった。
気付けば、私の隣で同い年くらいの男の子が倒れていた。
夜でも分かる肌の白さ、爪の長さ。この子はずっと山で暮らしていたのだろうか。
それにしてもここはどこだろう。
屋上から飛び降りたとはいえ、こんなところに来るのはあり得ない。
焦っていると、目の前の少年もゆっくりと目覚める。
「えっと……君、誰?」
早速そんなこと言われてビックリする。
「私は石原花怜よ」
「ふーん。俺は時透無一郎」
私は彼の手を取った。
「爪長いね。どうして切らないの?」
そう聞くと、無一郎君は顔を真っ青にした。
「僕……鬼……?」
「えっ?鬼?」
鬼って何?鬼は外、福は内ってヤツ?どういうこと?
「君、鬼って知らないの?人食い鬼だよ、僕は鬼を殺す組織なんだけど……僕、鬼なってる……」
人食い鬼?そんなのこんな現実に居るわけない。二次元の世界の話だ。
二次元……もしかして、ここは何かの物語の世界?
「ねぇ、ここは何時代?」
「僕、鬼になってる……」
どうやら、お互いそれところじゃなかった。