第7章 派閥と内毒
「側室は大勢いるんだ。
何も殺さなくても、王妃を離縁し王宮から遠ざけるだけだ。
殺される心配はいらないな」
冷たく言い切った俺を、王妃は悲愴な表情で見る。
「そんな……」
震えている。
「王は、王妃を殺さないはずだ。
しかし……
他の誰か、がどう出るかは知らないぞ」
脅す様な口調で揶揄っても、今は王妃には全て
脅しに聴こえる。
「他…他?
他にも私を狙う者がいるっていうの?」
「居るだろう?
今まで通り気をつければいいんですよ。
王妃」
俺はそう言って、王妃の部屋から、サッサと退いた。
身から出た錆ではあるが、自分の不義を悔やむでも無く、夫である王を1番に疑うとは…
我が身ばかりが可愛い女には辟易する。