第7章 派閥と内毒
それ以来、軍事には力を入れている。
しかし、父王は出来れば争いは無い方が良い、と言うスタンスでエジプトを率いている。
それは、父はデルタ奪還の闘いの時出陣し、
多くの犠牲者を目の当たりにしていたからだった。
「今は無駄な戦はせず、民を肥し、本当の戦に備えるのだ。
ナイル河の氾濫に没しない村落作りを考えるのが先だ」
大臣の中では民の事を考える王派と、
戦をしたい宰相派とに派閥が出来てる。
絶対王権の為、宰相派は歯痒い思いをしているだろう。
俺には宰相達が、何故それほど戦をしたいのか分からない。
だから、いつも衝突し、お互いを煙たく思っている。
そして、もう一つ、宰相は王位につきたがっている。
外の戦より、重要な戦いは王宮内にあった。