第4章 漂着地
「尋ねたい事がある。
この間の嵐の被害はどうだ?酷いか?」
網から顔を上げた男性は、俺を、
俺の首から下がっている王家の紋章をみて、
弾かれた様に顔を上げた。
「お、王子…?」
子供の父親だろう男性は、驚愕の表情で俺を見て、慌てて、状況を説明してくれた。
「あの子はお前の息子か?」
「はい」
恐縮した様子のまま返事をする。
「あの女は」
「名前はエリアルと言うようで、嵐で難破した船の破片に掴まって、流れて来ました」
「何処の者だ」
「どうも、ギリシアの者で……」
咎められると思ったのか、小さな声で苦しげに、けれど、正直に答えているようだった。