第3章 夜の王宮(18)
にっちゅ、にっちゃ…と湿り粘った水音が、
天蓋の中に響き、衣擦れの音がやけにザラついて聞こえる。
名前も、顔さえも知らない。
何処のどんな女かも知らない。
そんな女が俺の上で、俺のモノを下の口で咥え悦がる。
気分が悪くなりそうだ。
「そ……なに、俺の、コレがっ、良いかっ!」
苦しいのではないかという程、
わざと激しく腰を突き上げてみても、
「はぁ〜ぁん…い…あっ…イイっ!
…ルシエトさまぁ〜ぁ…」
悦楽の表情で仰反る。
女は、自ら胸を揉みながら、腰を回し、
前後に振り、嬌声を上げ続ける、
(…シラける……)
女が声を上げればあげるほど、
俺は冷めてゆく。