第8章 見えないトコロ
「分かった。
お前がそう望むならそう呼んでやるよ。
エリー」
偉そうに、言い慣れた様子。
けれど、エリアルは、最後の自分の愛称が、ひどく甘く呼ばれたような気がした。
(あ…ーー)
トクンっと胸の奥が鳴った気がした。
俺は、エリアルの申し出に、何でもない事のように平静を装って、淡々と対応したが、
心の中は違っていた。
冷たく命令する俺は嫌われていると思っていた。
なのに、エリアルの言葉は、
頼られているような、信頼されているような、そして、自分と言う、自分の存在を肯定されているようなそんな気持ちになった。
気分が昂揚した。
気分が良かった。
嬉しくて、今までに感じた事のない気分がした。
その時、お互い、
その気持ちの本当の在り処が判らなかった。