第14章 〈勝デク〉ロマンチックな夜なんて似合わないけど
「どうした」
隣に腰掛けたかっちゃんの静かな声に振り返る。真っ直ぐに見つめられると、長い間一緒にいるけど少しだけ照れてしまう。
「うーん……なんかね……」
膝の上で組んだ手に目を落とす。
「こんな世界が永遠に続けばいいなって思ってさ……」
自分の傷だらけになったボコボコの指や腕。これは全て、自分が誰かを助けるために負った傷で、どの傷も必要な傷だった。誰かを助けるのは当たり前で、身を挺して守るのがヒーローの役割だと思っているから。これは僕にとっては普通のこと。だけど、それだけが全てではないとたくさんの人に教えてもらった。隣にいる彼もその1人で……。
まだ雄英にいた時に出会した敵連合との数々の抗争。ヒーローとして誰かを救けたいと願っていた、あの頃。でも、毎日どこかでヒーローが活動している時間があることは世の中的に見れば、決して良いことではなくて、ヒーローが暇を持て余してこうやって過ごせることが本当は世界にとっては良いことで……。
「……」
「誰も傷付かない世界が……みんなが幸せに過ごせる世界が永遠に続くことが……ずっと続けばいいなって」
この景色を永遠のものにしたい。