第12章 〈轟出〉能ある鷹は爪を隠す
「じゃあ……」
目の前の彼が皿の上に持っていた箸を置いて、僕を真っ直ぐ見つめた。
「うちに来ればいいだろ」
「……え?」
予想していなかった言葉に呆然としてしまう。
「俺の借りてる部屋、事務所から近いし」
僕の反応を他所に、彼は話を進める。
「ご飯も風呂も用意する。湯船ももちろんある。ベッドは一個しかねェけど、結構広いやつのはずだ。緑谷の大事なオールマイトのグッズも俺の家に置いておけば安心だろ?」
「……」
なんか、とっても良い提案してもらっている気がする……至れり尽せりってやつだ。
「どうする?」
「……」
目の前に座っている彼は居酒屋には似合わない真剣な表情で僕の答えを待っていた。
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