第12章 〈轟出〉能ある鷹は爪を隠す
「え?」
それは本当に運命の悪戯なのか、神様の嫌がらせなのか……有り得ないことが起こることってあるんだなと思い知らされた瞬間だった。
「大変申し訳ございませんが、こちらのお住まいは審査が通りませんでした」
「……」
何でだ? 僕は今、エンデヴァー事務所でヒーロー活動をしていて真面目に仕事をしてて、まだ働き始めて数年だけど貯金もそれなりにあって……なのに……。
(家の審査が通らなかった……?)
そんなことがあるのだろうか。今、住んでいる家は今月中に退去が決まっている。新しい住まいに来月から住めると思っていたから、契約を終わらせてもいいだろうと思って申請をしてしまった。甘く考えていた。
「ど、どうにかできませんか……?」
「私共では……他の新しいお住まいをお勧めすることしかできません」
「……」
ーー神様、僕は何か悪いことをしたのでしょうか?
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