第2章 類は友を呼ぶ
「……」
お茶子は休憩時間中に自分の席でスマホをいじっていた。いつも明るく元気な彼女とは程遠く、黙って大人しくしている。理由はあることに集中しているからだ。それは……。
(この勝デク……ええな)
ーーBL小説を読むことだった。今、読んでいたのは自分たちが3年生になった時の雄英体育祭が舞台になっている小説。登場人物は同じクラスの緑谷出久と爆豪勝己だ。ーー雄英体育祭は一般人もテレビ放送などで見ることが可能である。そのため、腐っている人間には高校生男子が戦っているのも特別な関係、仲良くしているのも特別な関係という風に見える。妄想が膨れに膨れあがった結果、吐き出す場所としてネットやSNSで雄英高校在学中の男子高校生をテーマに小説を書いたり、読んだりしている人がたくさんいた。ーーお茶子もその中の1人だった。
(この人……ようわかっとるわ……勝デクはやっぱりこうでないとな)
1人で頷きながら、自分の解釈と一致している人の作品を読むのが彼女の楽しみとなっていた。
「お茶子ちゃん」
ーーだから、お茶子は気付かなかった。後ろにクラスメイトの梅雨がいることを。
「……」
「お茶子ちゃん」