第7章 〈勝デク〉僕じゃダメなんだ
ーー作戦はこうだ。僕の個性と飯田くんのレシプロで、まず推進力。そして、切島くんの硬化で壁をぶち抜く。開けた瞬間、すぐ様、轟くんの氷結で道を形成してほしい。なるべく高く飛べるよう。敵は僕らに気付いてない。これまで敵に散々出し抜かれて来たけど、今僕らがそれをできる立場にあるんだ。そして、手の届かない高さから戦場を横断する。敵のボスはオールマイトを食い止めてる。これはつまり、逆もまた然り。
僕の考えた作戦通りにみんなが行動する。
ーーそしたら、切島くんだ。
自分で言っておきながら、また胸が痛む。それはドロドロと黒い塊になって重く軋む。
ーー僕じゃダメだ。轟くんでも、飯田くんでも、八百万さんでも……入学してから今まで、かっちゃんと対等な関係を築いてきた、友達の呼び掛けなら……。
「来い!」
切島くんが手を伸ばしながら、精一杯叫ぶ。
ーーきっと……。
バッコーン!
後ろで大きな爆発音がした。それとともに、凄まじい勢いでかっちゃんが飛んで来て、切島の伸ばした手を掴む。
「馬鹿かよ……」
心に大きなトゲが突き刺さる。
嬉しそうに笑う彼。
僕じゃ絶対に成功しなかった。切島くんじゃないと、ダメだった。小さい頃からずっと一緒なのに、僕は彼の友達じゃないから。