第6章 感想会(1)
「……」
梅雨の部屋で、お茶子は言葉を失っている。
「梅雨ちゃん、これは……」
事の元凶である梅雨はニコニコと笑っている。
「オル出前提の勝デクよ」
「……」
お茶子は梅雨のスマートフォンを握り締めて震えている。
「オル出っていう概念……」
「良いでしょ?」
お茶子はその場に突っ伏した。
「良い……」
事件現場の殺害された被害者のように、床に『勝デク』とダイイングメッセージを残している。
「これ、梅雨ちゃんが書いたん?」
「いいえ、見つけたの。すっごく良かったから、お茶子ちゃんにも読んでほしいと思って」
悪魔の笑みに近い笑顔で梅雨は笑う。
「ドロドロの三角関係ネタに誰かを引きずり込みたいの」
「……」
梅雨の野望は聞かなかったことにして、お茶子は思ったことを口にした。
「それにしても、これって結構シチュエーションが限られた人しか書けないものやよね? 誰が書いたんやろ……」
ーー神野区の戦いの時に、緑谷と爆豪が大型モニターでその闘いの様子を見ていたことは一部の雄英生、しかも1-Aのメンバーしか知らないはずだ。それに、その後に家庭訪問があったことも、雄英高校の人間でなければ知らないはずだった。