第1章 〈勝デク〉雄英体育祭
僕らはそれぞれ構えて、真っ直ぐに前を見つめた。
「かっちゃん!」
この会場の声援に掻き消されない大きな声で彼を呼んだ。
「……」
彼は僕を睨んだまま、黙って口を開かない。
僕はふーっと大きく息を吐き出した。
「サンドバッグになるつもりはないぞ!」
彼はその言葉を聞いて、口端を上げて笑った。
「いい度胸じゃねェか……やれるもんならやってみやがれ! デク!」
『Ready,FIGHT!』
ミッドナイトの持っている旗が振り下ろされたと同時に、僕たちは地面を蹴って飛び出した。
+