第1章 〈勝デク〉雄英体育祭
ーー高校3年生。雄英高校最後の体育祭。
「……」
僕は真っ直ぐ前を見据えた。
(今年こそは……絶対に優勝する……!)
ーー最高のヒーローになるために。
『雄英体育祭、最終科目 ガチバトルトーナメント! 決勝!! みんな、準備はいいかー!?』
プレゼントマイクのアナウンスが流れる。会場は熱気に包まれ、大歓声が響き渡る。
『それでは! 決勝に進んだ2人を紹介するぜ! まずは、3年A組! ヒーローネーム、デク! 緑谷出久!!』
キャーーー!!!
名前を呼ばれたと同時に、ステージに上がる。360°見渡す限りの大観衆。そして、止まらない声援。
だけど、僕は前だけを見据えた。相手が彼だから。
『続いて、2年連続優勝者! ディフェンディングチャンピオン! 三連覇して雄英高校初の快挙なるか!? 緑谷と同じく、3年A組! ヒーローネーム、爆心地! 爆豪勝己!』
キャーーー!!!
彼はゆっくりと階段を上がってくる。会場のボルテージが一気に高まった。
「……」
彼は僕を睨み付けている。
『それでは! ミッドナイトの合図で試合開始だー!』
うおォォォォォ!!!