第3章 巳早からのオビ
「黙れ!
この娘がお前の目にどう映ってるなんて
知りたくもないけどな…
白雪は一欠片だって道具とされる為にはない!」
男の話にキレたゼンがそう叫ぶ
よくそんな恥ずかしい事が堂々と言えるな
と思いながら
目をぱちくりさせていると
ゼンにお前もこっちに来い!と怒られてしまった
『でも、私がいるんだし
拘束しておいた方がいいんじゃ?』
「いい!どうせ逃げる気もないだろ
それにあんな奴の傍にいたらお前まで何されるか
わかったもんじゃないぞ」
『ああ…桃色ね
了解しましたよお父さん』
「なっ!?だ、誰がお父さんだ!」
プリプリと心配する姿を見て
そうからかえば、怒ったゼンにチョップを食らわせられる
地味に痛い
改めて白雪を上から下まで観察すれば
何処にも怪我はないし
特に悪いように変わっていないようだ
『無事だね白雪。良かった』
「さやまで
助けに来てくれてありがとう」
『いつも言ってるでしょ
私は白雪の剣、白雪の盾。
守るよ、いつまでも』
白雪の頬にそっと手を当てそう言うさや
その姿は姫を守る騎士のようで
ゼンはさやを見て
はぁっとため息を吐いた
こいつは白雪に対して時々男かと思うくらい
絵になっている時があるから困るな
ふと男が目に入ると
男はさやに釘付けになっていた
「な、なあお嬢さん
あんたさやっていうのか
俺、巳早」
『そうだけど、何?』
「あー、なんて言うか
いい女、だなさや」
相当好みの顔だったのか
歯切れ悪くそう言う巳早に冷たく返すさや
巳早の顔は嫌いじゃないし
あの巳早に好かれるのは悪い気はしない
でも私が会いたくて堪らないのは
違う人だから
『ごめん、私会いたい人がいるから』
「っ……」
「あーもういい加減にしろお前!
お前、他に仲間は!?
ってこんだけだらだら話して出てこないならいない、か」
巳早に聞いておいて自己解決するゼン
とりあえず持ってきていた縄を鞄から取り出し
巳早をぐるぐる巻きにした
(これで、安泰)