第4章 Cry in the cathedral
入ったヒビが大きくなりナツが謝り倒しているとパキっと割れ、エルザの石化が解けた。
「良かった…。しかしなぜ?」
「それが私にも…。もしかしたらこの右目のおかげかもしれませんが」
「良かった…」
石化による後遺症などがないか念入りに調べるノエルの手をエルザが止めた。
「ノエル、そんな顔をするな。私がなんとかする」
エルザが復活したおかげで術式も律儀に3人へと増える。
「この3人はナツとガジルとエルザのことだね。ノエルは術式に名指しで書かれてるから元から数に入れられてないみたいだし。…オイラと一緒で」
「そんなことないよ!ハッピーはちゃんとメンバーの一員だよ!!」
いじけるハッピーをノエルが宥めていると術式の人数が4人へとまた増え、それはギルド最強候補の彼が帰ってきたことを告げていた。
「では、行ってくる」
エルザはノエルにそっと耳打ちし頭にポンと手を置いた後、術式を越えて街の中へと飛び出した。
「無理はしなくていい。ノエルはフェアリーテイルにとってただ1人の医者であり、そして何よりかけがえのないメンバーなのだから」
その言葉にポタりと1粒の涙が床に落ちたのを見ている者はいなかった。
エルザがギルドから出て数十分後、女性陣の石化が解ける。人質が解放された今、この勝負は意味を成さなくなっていた。
石化していた皆に状況を説明し、暴れ足りないナツと完全には事態を把握出来ていない女子達の間に少し和やかなムードが流れる。その雰囲気に飲まれ、ノエルもクスリと笑う。
このまま終われば…。
その願いも虚しく、術式が骸骨へと変化しそこからラクサスの声が響き、バトル・オブ・フェアリーテイルに新たなルールを加えた。
「残り1時間10分。さあ、俺達に勝てるかな。それともリタイアするか、マスター?」
「何を考えおるラクサス!!関係の無い者達まで巻き込むつもりか!!…うっ」
「マスター!?」
「大丈夫、私が治す。ナツ、マスターを医務室に」
「ああ!!」
ラクサスの高笑いを非難する怒号をマカロフは上げたが、ただでさえ弱っている老体にとって刺激が強く血圧が上がりすぎたのか胸を抑え倒れた。それをノエルが冷静に対処する。その姿に周りも冷静さを取り戻し、外の変化に気づいたミラが皆を連れて様子を見に行った。