第3章 The world is mixed
15分は短い。
ノエル達がシェイドを倒している間にも時が過ぎる。そうしてあっという間に15分を迎え、それはナツがそれを食い止めたという事実を物語っていた。
ノエルの無に返す光とは違う、敵を拒み味方を包み込む光が降り注ぐ。フェアリーロウの暖かな光がシェイドを消し去っていく。
「「「「「バンザーイ!ファントムに勝ったぞ!!!」」」」」
マカロフがフェアリーテイルの勝利宣言をするその姿をノエルは穏やかな目で見つめていた。
再建されていくギルドには新しい風が舞い込む。ロキの精霊発覚やジュビアやガジルの加入。
別の事件に巻き込まれたらしいナツやエルザの傷も癒えた頃。
一時期は幽鬼の支配者との戦闘などで騒がしかった医務室もここのところは大きな怪我で占領する輩もおらず、静かな時が流れていた。
「ノエルさんは収穫祭に出ないんですか?」
ガジルから受けた怪我を治す薬を処方してもらっていたレビィがノエルに訊ねるとノエルは首を横に振る。
「あまり人前に出るのは好きじゃないから」
「そうなんですか?フェアリーテイルコンテストとかピッタリなのに」
「それこそレビィの方が可愛くてピッタリよ」
「そうかなぁ」
レビィは昨年の収穫祭に思いを馳せた。その時はやはりミラとエルザの一騎討ちだったが、さすがに現役グラビアのミラが強くそのまま優勝をもぎ取った。しかし今年はルーシィやジュビアの加入による女子の多様化で票が分散される予想なためレビィも可能性は十分にあると思えた。
「ちょっと頑張ってみようかな」
「それがいいわ」
本当に傷が残らなくてよかったとレビィの両手を診ながらノエルは呟く。そのホットした表情に思い出したのかレビィは先日あった出来事を話した。
「あの…この前なんですけど、ラクサスが」
「…ラクサス?」
「帰ってきてて…」
「そう…」
言いづらそうに吃るレビィに何かあったことを察してノエルは溜息を吐いた。
レビィ自身ノエルとラクサスの関係をあまり知らない。昔は仲が良かったという程度の認識だった。
「ごめんなさい。私には何も出来ないの」
私の声は届かないのだと嘆くノエルに彼らに深い溝がある事を知ってレビィは申し訳なくなり、不自然にも大きく話題を変えることしか出来なかった。