第3章 The world is mixed
ノエルが中に入れば、ちょうどラクリマで会話をしているミラとラクサスの声が聴こえてくる。ラクサスのメンバーを踏みにじる言葉、そしてマスターを、自分の祖父を貶す言葉にノエルは耐えきれず、思わずミラに駆け寄り啖呵を切った。
「それなら、ラクサスが行かないのなら私が行くわ」
「…ノエル」
「はぁ!?お前…どういうことだ!!」
「そのままの意味よ。私はフェアリーテイルを…。私の居場所を守りたいから」
「……。勝手にすればいい」
そう言うとプツリと通信が切れた。静かな決裂だった。
ズドンズドンと地響きがフェアリーテイル内を占拠する。
「外だ!」
アイザックが階段から声を張り上げた。その声に反応して中にいたメンバーは外へと駆け出す。
「何だありゃ!?」
そこには海を歩く巨大なギルドの姿があった。意外な襲撃の仕方に誰も身体が動かない。すると幽鬼の支配者のギルドの一角が開き、中から主砲が表れる。先には魔力が貯まっていて今にも発射されそうな勢いだった。
「不味い!全員伏せろー!!」
エルザが声をかけるが、それだけではどうにもならないことは明白だった。
「私が止める、下がってて」
「どうするんだ!?ここは私が!!」
「大丈夫」
ノエルの手に白い魔力が集まっていく。それは大きな壁を造り、放たれた砲撃はその中に吸い込まれていった。
「…すげー」
誰かが発した言葉もその白の盾に吸い込まれ、静寂に包まれる。それは無に戻す光だった。
ふぅと一息吐くノエルの額には汗が滲んでいるが、それ以外に疲労した様子も見られない。
「まだこれでもやるつもり?」
「おのれ!ならば最大のジュピターを食らわせてやる!装填までの15分恐怖の中で喘げ!!」
ノエルの冷静な姿に怒り心頭のジョゼがさらに声を荒らげジュピター再発の準備を始めた。そして間もなくジョゼの幽鬼の兵シェイドがギルドを襲う。
「ジュピターは私に任せて」
「…大丈夫なのか?」
エルザの心配そうな顔に安心してとノエルが大きく頷けば、ナツが「俺が止める」と走り出していく。
「私達のギルドだ。ノエル、お前だけに負担させる訳には行くまい」
私も行ってくるとエルザやグレイ、エルフマンもそれに続く。カナ達はこちらで一緒に守りを固めると役割を決めそれぞれ動き出した。