第3章 The world is mixed
「これがエルザで、これがラクサス。じゃあこれがノエルさん…って何か雰囲気違いますね!?」
ルーシィが驚くのも無理はないとミラは目尻を下げる。そこには今のノエルにはない明るい笑顔があった。隣のラクサスも穏やかな笑顔だ。
「このもう少し後くらいかな…。私もよく知らないの。ナツやグレイ辺りに聞けば知ってるかもだけど」
その頃よく一緒にクエスト行ってたからとミラが言えば、ルーシィはナツが字を教えて貰っていたのもノエルだと聞いたのを思い出した。
「おーい、ミラ。手伝ってくれぃ」
ミラがマカロフに呼ばれ書庫から出ていく。残されたルーシィは絵を見ながら思いに馳せていた。
「アイツら仲直り出来たのかしら…。しょうがないなぁ、ちょっと見てこようっと」
様子を見にいくという名目で、本当は昔の事を聞けたらとルーシィは心に留めながらナツの元へ向かう。
新参者としては出来ればフェアリーテイルの昔の色々な話を聞きたい。全ては分からない、もう体験できない悔しさはあるけれど。それは仕方ないのだから。
これからは自分の目で足で感じる、記憶することが出来る。精一杯フェアリーテイルの一員として過ごそう。
その有り難さを噛み締めながらルーシィは走った。
ここ数日は大変だった。幽鬼の支配者によるギルドの破壊が行われ、建物が半壊。辛うじて医務室は無事で薬品を自分の寮の部屋に運び込んだはいいが、次はシャドウギアが襲われ沈黙を貫いていたマカロフも黙っていられず、幽鬼の支配者に乗り込む事に。
ノエルはルーシィと共にマグノリア病院でシャドウギアの看病にまわっていた。
「私買い物に行ってきます!」
「ありがとう」
元気よく飛び出していったルーシィの背を見送りながらジェットの骨折した足に治癒魔法をかける。
ルーシィが戻ってこられないなどとは思いもせずに。
「皆、ルーシィ見なかった?…マスター!?」
帰りが遅いとルーシィが買い物を行った店まで歩いていったが影も形もなくもしやと思い、皆が乗り込んだ幽鬼の支配者の支部まで行ってみれば魔力を失われ瀕死なマカロフと士気の下がったメンバーが見えた。ノエルがマカロフに駆け寄る。
「ノエル、マスターを連れて外へ」
「…ええ」
ノエルが外に出たのを確認した後、エルザが全員に撤退を告げた。