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青薔薇姫《家庭教師ヒットマンREBORN!》

第1章 標的1 幼馴染と家庭教師


「んじゃ たのんだぜーっ」
「ファイトだダメツナ!!」
「ちょっまってよっ」

自分のせいでバスケの試合に負けた。
貴重な放課後は遊びたいからと体育館掃除を綱吉1人に押し付けクラスメイト達はさっさと行ってしまう。

「テストは?」
「入学以来全部赤点」
「スポーツは?」
「ダメツナのいるチームはいつも負け」

聞こえてくる罵声は本当のことなので反論できる筈もなく。

「へいへい どーせオレはバカで運動おんちですよ」

こんなダメなオレが なぜ学校に来るかといえば―――

「こら!またそんなこと言ってる!」

綾里がいるから。

「綾里!」

体育館の入り口に1人の少女が立っていた。
チェリーブラウンのロングヘアにエメラルドグリーンの瞳、華奢な身体は陶器のように白い。
もしも季節で例えるなら暖かな春のような、可憐な少女だ。

綾里は両手を腰にあて怒ったようにこっちを見ているが、怒っていても彼女の可憐さは失われておらず、
いつものように見惚れてしまう。

―――いのり綾里。
自分でも信じられないけれどオレの従妹で 小さい時からずっと一緒いる……オレの初恋。

「確かに綱吉は勉強も運動も駄目だけど!」
「うっ」

……時々 思ったことをストレートに言う子だけど、

「これから頑張ればいいし、それに私は綱吉がとっても優しいって知ってる。
だからダメツナなんかじゃないよ」
「綾里……っ」

彼女のたった一言で憂鬱だった心があっという間に温かくなった。
綾里はいつだって温かく笑って、傍にいて支えてくれる。
こんなちっぽけなオレだけどオレは綾里を守りたい。
綾里はオレの大事な子だ、大切にしたいって思ってる。
……こんなこと言うとまるで付き合っているように聞こえるが、残念ながら想いはまだ告げていない。

ねぇ、綾里。
オレが強くなって自信がもてる自分になれたなら、きっと想いを告げるよ。
だからまだ誰かのものになったりしないで―――

「ほら、私も掃除手伝ってあげる。 さっさと終わらせちゃおう!」
「うん!」
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