第63章 幸せをありがとう
俺の心読んでたんかっちゅーくらい、タイミングぴったしやな
「浦原さん!それどんなやつですか?見せて!」
「大分前のなんでちょっと探しておきますね」
「見つかったらすぐ見せてくださいね!」
空飛ぶ絨毯て…アラジンか
「信じてないでしょ?平子サン」
「いーえ、信じてますー」
むしろ喜助に出来んことあんのかって思うくらいや
「それじゃあ真子も来たし、帰るね」
「琴乃が世話ンなったなァ」
「かえっちゃ、やー!」
「空ー、パパが高い高いしてあげますよンー」
くるっと表情を変えて、喜助に飛び込む空
2人が帰ったあと、空は思う存分高い高いをしてもらって満足したみたい
「さっきからなぁに考えてるんスか?」
「え?!」
ボーッとしてた私の目の前に急に現れた喜助さん
驚いて手ぶつけちゃったんだけど…
「男のこと考えてんじゃないでしょーね…」
「…違うよ。女の子だったら、私妬いちゃうのかなーって…」
「ボクは空に妬いてますけどね」
「え、そうなの?」
ぐっと近づく顔
ねぇ、キスしていいっスか?
なんて小声で耳元で囁かれたら、心臓が跳ね上がる
「そ、空が見てるよ!」
「もう寝ましたよン」
喜助さんの後ろを見ると、スヤスヤと寝息をたてているであろう空の姿
その間にも近づく顔の距離
「妬いた時は、素直に言ってくださいね」
「喜助さんだって…っ」
「ありすぎて伝えきれないっス」
「そんな…に」
紫苑の口を塞ぐように、顎に手を添えて優しいキス
思わず掴む喜助の袖
「愛してるよ、紫苑」
「私も…」
大好きな人に愛されて
大好きな人との子供がいる
もう欲しいものは何も無い
喜助さん、幸せをありがとう
fin.