• テキストサイズ

With me

第61章 アナタが笑顔なら 後編



「ねぇ真子」

「なんや」

「ありがとね!」


いつもニコニコしとるけど、そん時のはめちゃくちゃとびっきりの笑顔

アホ

眩しいっちゅーねん


「もう来年は買わへんからな」

「えーケチ」

「ケチやない。当たり前やろ。生きてるんやし」

「生きてる…か」


生きてるんだ、私…

本当に

お墓に飾られた花たちを、真子がどんな想いで毎年供えてくれていたのか考えると、胸が熱くなる


「オマエ、紫苑の泣き虫うつったんやないの?喜助みたァに」

「…ははっ、キャラじゃないよね」

「大丈夫。ちゃんと生きとる」


私の手を取って、私の心臓に当てて


「な?」


ってめちゃくちゃ優しい顔するから、頷くことしかできなかった


「真子…」

「んー?」


こうやって袖とかをちょんと摘まむんは、抱き締めて欲しいっちゅーことやったかな

記憶を頼りに琴乃に手を伸ばすと


「…やっぱいい」

「はぁ?」


そんで、ちょっとうつむきがちに、ボソッと


「紫苑たち居るから、さ」

「居らんけど?」

「え?え、なんで?」

「用事ができたっちゅーて、2人でどっか行きよったで」

「いつの間に?」


気利かせてくれたんやろな

せやけどなー、墓前でイチャイチャすんのもな…

琴乃の墓はまぁアレやけど、西園寺家の墓も隣にあるわけやし


「…真子」


めっちゃちっさい声

ちょんと袖を摘まむ手

俺を見上げる上目遣い


抱き締めてやると笑顔になっていくのがわかる


「ここ墓前やけど、エェの?」

「いーじゃん私はここにいるんだし」

「オマエのだけじゃないんやけど…」

「なんか言った?」

「なーんも」


まぁ、エェか…

オマエが笑顔なら


ずっと隣で笑っとるんやで






fin.






「いや、やっぱりアカンやろ!場所変えんで」

「はいはーい」




/ 761ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp