第61章 アナタが笑顔なら 後編
アナタが笑顔なら 後編
─臨時休業─
浦原商店のシャッターの上にはペラリと1枚の張り紙があった
"誰も入れないでくださいね"
と、喜助に釘をさされた
こんな大層な結界まではって…
なんでも紫苑の中に居る虚を、消し去るのに三日三晩かかるそうじゃ
それに付いていたいからと
「あれ、夜一さんじゃねぇか。店、やってねぇのか?」
シャッターの前で猫の姿でウロウロしていると、一護がカバンを肩に担いで近寄ってきた
「一護か。生憎今日は…いや、あと三日は無理じゃ。日を改めるんじゃな」
「あぁ、分かった……じゃなくて!三日って…?浦原さんに聞きたいこととか色々あんだけど…」
猫の夜一の視線にあわせ、しゃがんだ一護を鋭い眼光で見る
「無理じゃ。入ったら殺されるぞ」
「…一体何してんだよ。浦原さんは」
あの人のことだ
きっとこの世界を滅ぼせるかもしれないくらい、ヤバいことをしている可能性は充分にある
「…紫苑に関係あんのか」
「……」
「そっか…」
紫苑に何が起こってるのか…
気にならないはずがなかった
けど、夜一さんの反応からしても、きっと聞いたところで俺にできることは何もない…
未練がましいな…俺は
浦原さんに敵わないと解っていても、やっぱり気になってしまう
死神の力も失ったし、紫苑を守ってやることもできない…
「あ、一護!」
声のしたほうを向くと、琴乃と平子が此方に向かって歩いてくる
「琴乃、平子」
「始まったんか…」
商店に近づいた時から感じていた、何重にも張られた結界
猫の夜一に問いかけると、肯定の返事が返ってきた
「始まったって、何が…?」
「紫苑は今、闘ってるの」
「闘ってるって、何と…?」
「此処じゃなんだから、カフェでも行く?一護」
少し平子に睨まれた気がしたけど、気にしてないフリをした
「琴乃お前なァ…」
「いいじゃない。たまには、ね」
「…しゃーないのォ」
歩き出す3人を、夜一はしばらく見つめていた