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With me

第9章 私に、だけ…?



悲しそうな顔をしてコクンと頷く紫苑を抱き締めたい衝動に駆られる


「また買ってきてあげるから、よしよし泣かないの」


我慢できずに紫苑を自身へ引き寄せる

紫苑の頭に手をまわし、ポンポンと叩く

幼い子供をあやすように


「泣いてないです…」


どれどれ…と喜助は紫苑の頬を両手で包み、クイっと顔をあげさせた

涙を流してはいないが、たっぷりと潤んだ瞳が身長差が手伝って喜助を見上げる形になる

一瞬心臓が止まるかと思った

こんな目で、こんな上目遣いされたら…

自然と喜助の顔が紫苑に近づいていく

紫苑はゆっくりと目を閉じる

その勢いで両目から涙がツーッと伝う

紫苑の唇に柔らかい細いものが触れた

?細いもの?

目をあけるとそれは喜助の指だった


「ほら泣いた」

「っな、泣いてませんてば!」


ヤバかった…

理性が吹っ飛ぶかと思った…

紫苑サンの涙目上目遣い…強力すぎる…

柄にもなくドキドキしてる


「戻りましょうか」


2人で隊舎への帰り道を歩いた


未だに胸がドキドキしてる…

だってだって…隊長に抱き寄せられただけでもドキドキするのに、頭ポンポンされて…

顔をあげられて…

キス…されるかと思った…

隊長といると、ドキドキしすぎて心臓に悪いよ…

隊長は私のこと、どう思ってるのかな…


「…サン、紫苑サン!聞いてます?」

「え?!あ、はい。なんでしょう?」

「だから、明日、迎えに行きますから部屋で待っていてくださいね」

「はい、わかりました」


それを最後に隊舎についた私たちは別れた


はぁーやっと心臓が落ち着いた…


"明日、迎えに行きますから"


明日…?

暦を見て紫苑ははっとした

明日は20日だ…

デートの日だっ

本当に浦原隊長とデートできるんだぁ

紫苑はその日の午後、ウキウキしながら仕事を早く終わらせた

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