第57章 なんかあったら言えよ
第57章 なんかあったら言えよ
尸魂界 技術開発局─
「紫苑と阿近て、本当仲良いわねぇ」
阿近の後ろで寛いでいると、それを聞きつけた乱菊もお菓子を持って混ざってきた
仕事は?と聞くと
「サボリに決まってるじゃなぁい!」
日番谷隊長の苦労が目に見える…
「紫苑は男駄目なんでしょ?阿近は平気なのー?」
「うーん小さいときから知ってるからかな…」
「お前は俺のこと、男として見てないもんな」
「否定はしないかな」
阿近の拳がコツンと、紫苑の頭に落ちた
「紫苑、迎えが来たみたいだぜ」
阿近が指差すモニターを覗くと、此方に向かっているであろう喜助の姿が目にはいった
「相変わらず迎えに来てくれるのね、浦原さん」
「じゃあそろそろ準備しようかな」
そしてもう一度モニターに目をやった時、目にはいった光景
3人の女死神が喜助に駆け寄る
声は聞こえないが、喜助の表情はある程度わかる
なによ、頬を染めてデレデレっとして…若い子に言い寄られて嬉しいって表情しちゃって
「紫苑、声漏れてるわよ」
「そう拗ねんなって」
タイミング悪かったと、阿近は少し反省した
「私帰んない」
「あらら、ヘソ曲げちゃった」
「全く…」
阿近は伝令神機を取り出し、喜助に電子書簡を打ち始めた
モニターにはそれに気づいた喜助が女に手を振り、再び歩みを始めた姿が映っている
"紫苑が駄々捏ねてるから、早く迎えに来てください"
そこから1分もかからなかっただろうか
喜助は技局にたどり着いた
「浦原さん、こんにちは」
「松本サンも居たんスか。紫苑は?」
「向こうで拗ねてますよ」
松本の指差す方向には、ソファの上に毛布にくるまった塊がひとつ
「紫苑~?」
布団をとろうとすると、とられまいと少しだけ力が入ったが、喜助はそれをお構い無しに引き剥がした
「なぁに拗ねてるんスか?」
少しだけ頬を膨らませた紫苑の顔があった
そんな顔も可愛い
「拗ねてないもん。帰らないもん」
「滅茶苦茶拗ねてるじゃないスか」
「ほっといてください」