第51章 The DiamondDust Rebellion
「夜一さんが、秘密のひとつやふたつ持っておけって…」
「ひとつやふたつって…秘密なんて作らないでくださいよ…夜一サンも余計なことを…」
腑に落ちない
自分が紫苑の一番の理解者でありたいと思うのに、裏切られた気分だ
駄目だ
何をイラついているんだ、ボクは
「ごめんなさい…でも…」
「でも、なんスか?」
自分でもわかる
口調が強くなっている
まるで紫苑を責めるように
「秘密とか、無かったら…喜助さん、私に飽きちゃうんじゃないかと思って…」
「へ?」
ぐちゃぐちゃしていた頭の中が、一気に消え去った
「研究が終わると対象に対しての興味がなくなるように、私のことも、興味がなくなっちゃうんじゃないかって思ったら…寂しくて…」
分かりやすく肩を落としてシュンとする紫苑
涅サンの影響だろうか
化学者はみんな、そうだと思っているのだろうか
ボクにその伏しが無いわけではない
だけど、紫苑に至っては…
「そしたら、100年も一緒に居ませんよ」
喜助さんに笑顔が戻った
ふんわりとした、優しい笑顔
「でもボクも悲しかったんスよ?…秘密にされて」
「ごめんなさいっ」
「これからは無しっスよ?」
紫苑は目を細めて返事をすると、頭の後ろに手をまわされ、唇に柔らかいものが触れた
胸がトクンと鳴る
「さてと、琴乃サンはどこに連れていかれたんでしょうね」
紫苑の頭にぽんと手をのせ、考え込む喜助
「探してみる」
「え、どうやって…?」
…─
尸魂界─
一番隊舎
日番谷の行動を聞いた山本は、険しい表情で隊長格に伝えた
「日番谷冬獅郎謀叛の疑いにより、緊急特例を護廷隊命へ変更する」
卯ノ花の鋭い視線が山本をとらえる
「お言葉ではございますが、些か拙速ではありませんか」
「意義は認めぬ。王印の捜索は引き続き行う。日番谷冬獅郎に関しては捕縛を第一とする。その際抵抗を示すようであれば……処刑せよ!」
処刑…
その二文字に、隊舎内の空気はピリッと凍りついた