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With me

第7章 もっと早く助けてあげたかった



「どうしたんスか?これ」


紫苑の腕には消し忘れたアザが残っていた


"あんたが浦原隊長と仲良くしてるからよ!"


あの人たちの言葉が脳裏によぎる

紫苑は咄嗟に腕を引っ込めた


「ちょっと、ぶつけただけですから…」

「じゃあこっちは?」

「いっ…!」


喜助が紫苑の足を握ると、紫苑に痛みが走った


「何かあったんスか?」


"このこと誰かに喋ったら、あんたの大切な友達も無事じゃ済まないかもね"


「紫苑サン、最近変ですよ…」

「隊長には関係ないですから…」

「え?」

「ほっといてください!」


そう言って紫苑は走り去った


「紫苑サン…」


喜助は紫苑が去っていったほうをしばらく見つめていた



足の痛みも気にせず走った

誰もいない廊下で立ち止まり、壁に体を預ける


「紫苑?」

「琴乃…」


琴乃は何か言いたそうな顔をしている


「紫苑、何かあったの?」

「別に何も…」

「嘘つかないでよ!私にはなんでも話してくれたのに…最近おかしいよ?」

「おかしくなんか…っ」

「紫苑何に悩んでいるの?私に何かできることない?」


どうして、琴乃にこんな顔させなきゃいけないんだろう…

どうして、大事な琴乃にこんなこと言わなきゃいけないんだろう…


「私に…もう近づかないで」


私はまた、その場から立ち去った


「紫苑ちゃん…?」

「沙也加さん…」

「そんなに息切らして…どうかした?」


紫苑は沙也加を見た途端、目に熱いものが込み上げてきた

気づいたら沙也加の胸で涙を流している紫苑がいた

それを沙也加は優しく抱き締める


「何があったかわからないけど、言いたくなったらでいいから、そのときは我慢しないで言いなね」

「っ…ごめっ…なさっ…!」


沙也加さんは何も聞かずに、私をずっと慰めてくれていた



…─



「ひよ里さぁぁん!」

「ひよ里サン!」


上から琴乃、喜助


「なんやあんたら、びっくりするやんけ!」

「紫苑がぁぁ!」

「紫苑サンがぁ…」

「1人ずつ喋りや!」

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