第43章 色々ありがとう
第43章 色々ありがとう
そして紫苑が目覚めてから約1ヶ月
「西園寺さん、おめでとうございます。来週退院の方向で大丈夫そうですね」
「本当ですか?!卯ノ花隊長!」
朝一番に嬉しい気持ちになった
「良かったね、紫苑」
喜助が紫苑の頭を撫でると、嬉しそうに微笑む
「それと、浦原さん。西園寺さんの喘息ですが、本当にお任せして大丈夫なのですか?」
「えぇ。詳細はお伝えできませんが、必ず治します」
「分かりました。それと、現世に行っても定期的に検査は受けに来てくださいね。西園寺さんは喘息以外にも、色々と心配な部分がありますから」
喜助がどのようにして紫苑の喘息を治そうとしているのかは、卯ノ花はなんとなく気付いているのだろう
その日から紫苑は退院に向けて動き始めた
外出許可も以前より取りやすくなり、それを利用して以前喜助と住んでいた部屋に向かった
「埃だらけだったりして」
「ボクも入るのは100年ぶりっスから」
開ける瞬間、埃が舞うと思って気を引き締めた
「え、綺麗…」
100年不在だったとは思えない程に、空気は澄んでいて、埃もほとんど見当たらなかった
「あぁ、そういえば…」
喜助は中に入り、ある機械に近寄る
「これ、空気を清浄する機械なんスよ。すっかり忘れてました」
そういえばそんなものあったっけ?と紫苑は疑問に思うも、部屋の一部と化していたそれを、当事は全く意識していなかった
「他にも色々あってね…まさか100年ももっているとは、ボクってやっぱり天才っスかね?」
「そうだね」
と嬉しそうに機械の紹介を始めた喜助の話しを、楽しそうに聞いていた
「ここともお別れかぁ…」
喜助さんとたくさんの時間を過ごした部屋
たくさんの思い出がある部屋
紫苑はまだ使えそうなものを整理し始めた